2020.12.31 15:00入間野の鳥狩はてしなくつづく雑木林、尾花がふきなびく武蔵野は、むかし関東武士が馬を乗りまわし、弓を射て武技をねるにとてもよい広野でありました。この広野できたえた武士たちは関東武士といって、とてもたくましく武勇すぐれたものが多かったのです。そのうちでも武蔵の国は強剛をきたえられたりっぱな武将が...
2020.12.31 15:00三本足のからすむかし、むかし、ある年の夏のことです。幾日も、幾日も雨が降らず、暑い日がつづいたことがありました。「ずいぶん、暑いですね。」「こう暑くて雨がふらないと、畠の作物は、みんな枯れてしまいます。稲も、麦も、葉っぱがちょりちょりによれて赤くなり、まるで火がつきそうです。」お百姓さんたちは...
2020.12.31 15:00三輪の杜北に金子の丘陵を背負っている、桂川の清流のほとり一帯は、狭山茶所としてのよく野です。このよく野の中に、うっそうとしげる森は、三輪の森といわれているところです。今からおよそ千年も前のことです。毎夜この森から美しいびわの音がきこえてきました。通る人は立ちどまり耳をかたむけ、やがてこの...
2020.12.31 15:00久保稲荷と白狐桜久保稲荷は扇町屋の久保というところにあり、むかしは桜の名所でした。四月十七日豊岡小学校の開校記念日のころは桜の満開で、よく先生に引率され、定例行事としてかけ足で校外遠足にかねて桜見物をしたものです。この稲荷様は天文十三年(西紀一五四〇)扇町屋の新田神社(愛宕神社)の宮司、守屋伊豆...
2020.12.31 15:00狭山茶 夏も近づく八十八夜 野にも山にも 若葉がしげる あれに見えるは 茶摘みじゃないか あかねだすきに すげの笠。子どものとき、このうたを、うたいながら、よく、お茶をつみました。今は、お茶つみも、はさみがりや、機械で摘みとりますので、たいへん手がはぶけるようになりまし...
2020.12.31 15:00金子家忠と十郎清水金子十郎家忠は、今からおよそ八百年もむかし、金子郷に生まれた人です。先祖は、平氏から出た、村山党から分れたもので、武蔵七党の一家として、源為義以来源氏につかえ、数々の戦いに戦功をたて、武蔵武士の勇名をとどろかせました。金子台地と入間川にはさまれた、南と北にまたがる青梅から黒須にい...
2020.12.31 15:00矢口の渡し今からおよそ、六百四十年ばかりまえのことです。武家政治が、ようやく天皇の御代にかえり、戦乱もおさまったかと思うもつかの間、足利尊氏が、むほんをおこしました。その勢いは、なかなか強く、朝廷も、南北にわかれ、戦いは国中にひろがりました。楠木正成、つづいて正行、名和長年、北畠顕家、新田...
2020.12.31 15:00高倉福信みなさんは、すもうがすきですか。ところで、むかし、この土地にすもうがたいへん強かった人がいたのを知っていますか。時は、奈良時代です。今の朝鮮、そのころの高麗という国から日本へわたって来た人で、福信という人がありました。学問があって、りっぱな人だったので、宮中の記録の役をし、また守...